いろいろな痔の病気・尖圭コンジローマ・肛門皮膚炎・臀部膿皮症・毛巣洞・直腸肛門痛・便失禁 of 福岡の大腸・肛門科専門医による痔・肛門科・大腸内視鏡(大腸カメラ)のサイト 大腸肛門武者修行
肛門皮膚炎
- 肛門の皮膚は不潔になりやすい場所であるため皮膚炎が起こりやすい
- 痒みが主症状だが、重症化すると痛みや出血を伴うようになる
- 原因のない特発性のものと、カンジダ菌や白癬菌の感染によるものや、痔核、痔瘻、直腸脱などの肛門疾患に続発するものがある
- 患部を清潔にして、抗アレルギーの外用剤を使用する。重症の場合はステロイド含有の外用剤を使用する
- 清潔にこだわるあまり、洗いすぎたり、紙で拭きすぎたり、刺激の強い石けんでこすりすぎたりすると、さらに悪化することがあるので注意を要する
- カンジダ菌や白癬菌の感染があれば、抗真菌剤も使用する
- 痔核などの肛門疾患に続発するものであれば、原疾患の治療を優先する
尖圭コンジローマ
- ヒトパピローマウィルスの感染による性行為感染症です
- 肛門周囲に小さないぼをつくって発症するが、進行すると多発したり、大きな塊を形成することもある。
- 肛門の中や陰部にもいぼができることもある。
- 外科的手術が基本です
- 抗ウィルスの軟膏(ベセルナクリーム)もある
- 手術も薬物療法も高率に再発するため、少なくとも6ヶ月は経過を見るべきです
- 肛門コンジローマに関する最新の治療はこちらをご覧ください
臀部膿皮症
- 肛門周囲や臀部の皮下膿瘍で、化膿と排膿をくりかえす疾患です
- 成人男性に多く、次第に皮膚はかたく、黒ずんできます
- 痔瘻と同様に、急性期の膿がたまった状態では急いで切開を行い、根治手術の時は膿の袋を完全に切除する必要があります
- 痔瘻が合併することや、一見痔瘻と鑑別が難しいこともあります
毛巣洞
- 仙骨部正中に難治性の膿瘍を形成する病態です
- 膿瘍内に毛髪が混じっていることがあります
- 日本では成人男性に多いようです
- 手術は瘻管の完全切除が必要です
肛門梅毒
- 梅毒の肛門症状として、難治性の裂肛や扁平なコンジローマがあります
- 同時期に体幹や四肢にばら疹とよばれる発疹がでることがあります
- ペニシリン系抗生剤による薬物治療を行います
肛門ヘルペス
- 肛門周囲に単純ヘルペスや帯状疱疹ができることがあります
- 痛みをともなった発赤にはじまり、後に水疱を形成します
- 抗ウィルス剤の軟膏や内服薬で治療します
肛門部子宮内膜症
- 分娩時に子宮粘膜片が会陰切開創に移植されることで起こります
- 月経のある経産婦に発症し、生理のたびに病変が痛くなり、硬く腫れる症状を繰り返します
- ホルモン治療と手術治療がありますが、年齢、妊娠の希望の有無、病変の大きさや深さを考慮して、治療方針を決めます
- 肛門子宮内膜症に関する最新の治療はこちらをご覧ください
直腸脱
- 排便時や息み時に直腸が肛門外に脱出、翻転する病気です
- 高齢者に多く、ほとんどに肛門括約筋不全を伴っています
- 重症例では、脱出の他に、便もれ、かぶれ、出血の症状を伴い、日常生活を大きく制限することもあります
- 治療は手術しかありませんが、多くの手術の方法があります
- 大きくわけて、開腹手術と経肛門手術がありますが、患者の年齢や全身状態、直腸脱の大きさなどを参考に、術式を決めます
- いづれの術式も再発の可能性があります
直腸瘤
- 直腸の前壁が腟腔内に突出する状態で、直腸と膣の壁が弱いために生じるといわれています
- 便秘や残便感の原因になることがあります
- 排便コントロールなどの保存的治療で症状がよくならない場合、手術を行うことがあります
肛門括約筋不全
- 自分の意思に反して、肛門から液状または固形の便が漏れる状態です
- 原因はさまざまで、50歳未満では分娩時や肛門手術時の損傷や直腸脱の合併によるものが多い
- 50歳以上では加齢による筋力低下によるものがほとんどである
- 食事指導や生活指導、内服薬による排便コントロールを行います
- おしりの筋肉をしめる体操や訓練も行います
- 原因となる肛門括約筋の損傷が明らかな場合、手術をすることもあります
- 便失禁に関する最新の治療はこちらをご覧ください
直腸肛門痛
- 器質的な異常がないのに、慢性的に直腸肛門部に痛みがおこる原因不明の病態です
- 陰部神経や肛門挙筋に痛みが限局することがあります
- 薄着を避け、坐浴や入浴を行い、肛門を温めると痛みが減ることがあります
- 痛み止めの内服薬や坐薬が効く場合があります
- 肛門内のマッサージや痛み止めの注射が効くこともあります
- 肛門痛に関する最新の治療はこちらをご覧ください
肛門異臭症
- 肛門部の臭いが気になり、他人に迷惑をかけているという意識が強くなり来院されます
- 多くの病院を受診したりして、病悩期間が長いことがあります
- 器質的な病期や肛門機能の異常がないかをきちんと調べます
- もし異常がなければ、心理療法やリハビリ療法、認知行動療法などを行い、治療を行います