昔は痔の手術というと1ヶ月ちかく入院が必要な時代もありました。しかし最近では、手術方法の改善、手術器具や手術時に使用する糸や止血材の改良、薬の進歩によって、術後の出血や痛みも少なくなり、術後をベッド上で過ごさなければならないこともなくなりました。そこで日帰り手術や短期入院手術を積極的に行う肛門科も増えてきています。
日帰り手術には、仕事を休む期間の短縮、治療費用の軽減、自宅という慣れた環境での療養といった多くのメリットもありますが、ご自分での傷の管理や通院の必要などの注意点もあります。また痔の種類や程度によっては通常の入院手術が必要なケースもありますので、医師とよく相談して決めるようにしましょう。
痔の病状別の日帰り手術または入院手術の目安を参考にして下さい。
日帰り手術ができる痔の病気
- 軽い内痔核(注射治療を行います)
- 血栓性外痔核
- 皮膚痔
- 浅い肛門周囲膿瘍
- 軽い肛門狭窄
- 中程度の裂肛
- 中程度の尖圭コンジローマ
- 軽い膿皮症
短期入院の手術が望ましい痔の病気
- 中程度の内痔核(1~2個の切除)
- 深い肛門周囲膿瘍
- 単純な痔瘻
- 肛門狭窄
- 重症の裂肛
- 重症の尖圭コンジローマ
- 肛門ポリープ
- 中程度の膿皮症
通常の入院手術が望ましい痔の病気
- 重症の内痔核(3個以上の切除)
- 複雑な痔瘻
- 直腸脱
- 直腸瘤
- 重症で広範な膿皮症
- 肛門括約筋不全