痔核の最新の治療法”ジオン注”について
ジオンとは?
ジオンは、硫酸アルミニウムカリウム水和物及びタンニン酸を有効成分とする局所注射用配合剤です。本剤は、中国において内痔核の硬化療法剤として承認されている「消痔霊®」の添加剤の一部を変更した製剤です。
独特なジオンの注射方法
ジオン注は「脱出を伴う内痔核」に効能・効果を持つ局所注射用配合剤であり、痔核への投与にあたっては「四段階注射法」という独特な手法を用いて投与いたします。
非観血的に病変組織を硬化退縮させることにより重度内痔核の脱出と排便時出血を消失させると考えられます。
ジオンの作用機序
ジオン注の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物は、痔核内投与により急性炎症を惹起します。その炎症修復反応である肉芽形成を経た線維化により、脱出した痔核が硬化・退縮します。また、投与早期には、硫酸アルミニウムカリウム水和物の血管透過性亢進作用により血液濃縮が生じ、痔核局所の血流量が減少します。その結果、速やかに出血症状が改善します。一方、タンニン酸は、硫酸アルミニウムカリウム水和物による過度な急性炎症を抑制し、2次的な組織障害を軽減する働きを担っています。
ジオンの効果や治療成績
全国10医療機関の共同研究で結紮切除術(手術)と比較検討したところ、手術適応とされるⅢ、Ⅳ度で、28日後の脱出の消失率は手術と同程度であり、1年間の再発率は16%でした。また、合併症としては硬結、疼痛、排便困難、排尿困難、浮腫などが見られ、副作用としては注射2週間後までに発熱が7%に見られましたが、いずれも対症療法もしくは経過観察で改善しました。
ジオンの優れている点と注意する点
ジオンの注射療法は高度の技術を要するため、現在、治療を受けられる専門医はそれほど多くはありませんが、痔核を切り取る手術とは異なり、痔核の痛みを感じない部分に注射するので、出血や痛みなど、患者さんの身体的・精神的負担は軽減されます。また、再発の可能性はゼロではありませんが、治療は15分程度で終わり、日帰り手術や短期入院での治療も可能なので、治療費も手術の3分の1程度と経済的負担も大きく軽減されます。ただし新薬であるため長期の効果は不明であるため、退院後は、通院して治療の経過を確認することが必要です。
ジオンによる痔核治療を希望のかたは豊永医院の外来にお越し下さい。詳しくはこちら(Tel 0948-22-5423)
福岡市近隣の方は福岡山王病院 外科の豊永医師の外来を電話でご予約ください(水曜午後)。(Tel 092-832-1226)
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