主な内容
【目的】元来、痔核手術に対してはLEが主体である。ALTA登場以来、効果、合併症などの指針が示されている。今回我々はLEにALTAを併用し、切除箇所を減らすことで在院日数、鎮痛剤使用日数に効果があるか、また合併症及び再発率について検討した。
【症例】当院で06年6 月から08年11月までに内外痔核と診断し、結紮切除のみ、ALTAのみ、結紮切除とALTA併用を行った358例(男性226例、女性132例)、平均年齢は52±11歳(18~90歳)を対象とした。結紮切除のみ症例は43例でALTAのみ症例が121例、併用手術症例が194例であった。
【方法】術後の退院日数と、退院後の鎮痛剤の使用状況を外来受診時に確認し、また術後最長2 年4 ヶ月での合併症、再発率を再受診時に確認し比較検討した。
【結果】退院日数、鎮痛剤使用日数は結紮切除のみに比べALTA、併用手術症例が有意な減少を認めた。(p<0.001)。合併症は結紮切除症例で1 例術後出血を認めた。ALTA症例では直腸潰瘍を1 例、熱発を1 例認めた。併用手術では術後出血が1 例認められた。狭窄は全例に認めなかった。再発はALTA症例に2 例認めたのみで特に有意差は認めなかった。
【考察】痔核は全周性以外は3 ヶ所出現するが、どれも同じ大きさ、形である場合は少な
い。診察時に2 度であればALTAを第一選択とし、STを伴う場合はST切除を、外痔核が
発達している場合は外痔核のみ切除している。3 度の痔核でも同様であるがST、外痔核の大きなものを伴う場合は結紮切除を考慮し、出来るだけ切除個数を減らすことがQOLにも医療経済的にも有効性が高いと思われる。
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