大腸内視鏡検査についてのQ&A
どんな症状があったら検査をしたほうがいいでしょうか?
大腸の病気はいろんな種類がありますが、大きく分けて腫瘍性の病気(大腸がんや大腸ポリープ)と炎症性の病気(潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、薬剤性腸炎、細菌性腸炎など)があります。
大腸がんなどの腫瘍性の病気は小さい初期の段階では無症状ですが、時間がたって大きくなってくると、出血症状(便に血が混ざる、貧血になる)、通過障害(便秘になる、おなかが張る、便の回数が増える、残便感がつづく)、腹部違和感(おなかが痛い、おなかにしこりが触れる)、体重減少などがでてきます。
一方、炎症性の病気は様々な原因でおこり、突然におなかが痛くなったり、出血したり、下痢したり、熱がでたりするのが多いようです。
このように大腸の病気はさまざまで、治療はそれぞれ違います。正確な病気の診断と適切な治療の選択には、大腸内視鏡検査で大腸を観察して、病変の範囲、形、大きさを調べることが必要です。また、必要に応じて病変の組織をつまんで、組織診断を行うことも可能です。
したがって、以下の症状のあるかたは大腸内視鏡検査を強くすすめます
- おしりから血が出る、便の表面に血がつく、便に血が混ざって赤黒い
- 健康診断や人間ドックで便潜血検査で陽性がでた
- 血液検査で貧血といわれたが、原因がわからない
- 最近便が出にくくなった、残便感がある、すっきりしない、便の回数が増えた、下痢便しかでない
- おなかの張りが続く、ガスがたまって苦しい
- 体重が徐々に減ってきた、食欲がすこしづつ落ちてきた
また、早期の大腸がんや小さい大腸ポリープでは症状がないことが多いため、上記のような症状がないからといって安心できません。大腸がんは早い段階で見つければ内視鏡的な処置で根治することも可能ですので、リスクのあるかたは一度大腸内視鏡検査をしたほうがいいと思います。
したがって、以下のようなかたにも、できれば大腸内視鏡をすすめます
- 以前に大腸ポリープを切除して、その後検査をしていないかた
- 両親や兄弟に大腸ポリープや大腸がんがいるかた
- 40歳をすぎて、一度も大腸内視鏡検査をしたことがないかた
大腸内視鏡検査はつらくないでしょうか?
大腸は長く、曲がりくねったトンネルの臓器なので、大腸内視鏡検査ができるようになるには訓練が必要です。大腸内視鏡検査が始まった20-30年前は準備や検査自体も大変で、痛くてつらいことが多かったようです。そのころに比べると、内視鏡の機械も改良され、内視鏡技術も進歩しました。しかし今でも、検査の成功率や痛みの有無は、検査を行う内視鏡医の経験と腕に大きく左右しているのが現状です。すべての患者さんに確実に盲腸まで挿入し、痛みなく快適に検査をできるようになるには、大腸内視鏡専門施設でトレーニングを積み、多くの症例を経験する必要があります。したがって内視鏡をしてもらう医師を選ぶ時は、内視鏡専門医の資格や業績にくわえ、いままでの勤務してきた経歴や経験した内視鏡件数などを参考にされるといいでしょう。もちろん、検査をうけたほかの患者さんの評判も役に立つと思います。